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学習ノート◆オイラーの贈物

ページ数はちくま学芸文庫版のものです。

1.5.1 有界・単調数列(p.31)

\[ S_n = 1 + 1 + \frac{1}{2} + \frac{1}{2^2} + \cdots + \frac{1}{2^{n-1}} = 1 + \frac{1-\left(\frac{1}{2}\right)^n}{1 - \frac{1}{2}} \]

ここでは等比級数の公式を使っているが、これは後のページ(p.35)で解説されている。理解しにくければこちらを先に読むと良い。

1.5.2 項の比による判定法(p.31)

ダランベールの収束判定法を基本にしていると思われるが、絶対値記号の付け方などに混乱(誤り)がある。一見して分かることは、冒頭では「 $\displaystyle \lim_{n \to \infty} \frac{a_{n+1}}{a_n} = K$, $|K| < 1$」を仮定しているのに、 枠で囲まれた結論(p.32)では「 $\displaystyle \lim_{n \to \infty} \left| \frac{a_{n+1}}{a_n} \right| < 1$ならば」とあり、記述が食い違っている。「絶対値の極限値」と「極限値の絶対値」は同じではない。

実際、この辺りの煩わしさを避けるために、数列の全ての項が非負である場合(いわゆる正項数列)に限定して、この収束判定法が証明されることも多い。その場合は、本文の証明から一切の絶対値記号を取り去ってしまえば、正しい証明になる。

証明の初めにある「ある番号 $N_0$より大きいすべての $N$に対して……」という議論では、多くの人が躓くとされる「 $\epsilon - N$論法」が用いられている。これについてはp.33「注意」において、「例題1」の数列を用いて具体的に補足説明がなされているので、合わせて読むと良い。

1.5.2 項の比による判定法、例題1(p.33)

\[ \lim_{n \to \infty} \frac{a_{n+1}}{a_n} = \lim_{n \to \infty} \left| \frac{D}{n + 1} \right| = 0 \] より……

この「 $\cdots = 0$より」は、「 $\cdots = 0$であり、 $1$より小さいので」という意味であることに注意。

2.6.2 接線の傾きと極値、問題3[1](p.71、解答p.460〜461)

$m$ の二次方程式とみて整理すると

この辺りから「何をやっているのか分からない」と感じる人が出るかもしれない。

$ n = (a^2 + 4bm^2)/(4am) $ を $\sqrt{ax+b}=mx+n$ に反映させれば \[ \sqrt{ax+b}=mx+\frac{a^2 + 4bm^2}{4am} \] となる。この方程式は、接点の $x$ 座標 $\alpha$ と $m$ との関係を与える。 $x$ を $\alpha$ と書き直して整理すれば \[ 4(a\alpha + b)m^2 - 4a\sqrt{a\alpha + b}\ m + a^2 = 0 \] という $m$ についての2次方程式となり、 \[ (2\sqrt{a\alpha + b}\ m - a)^2 = 0 \] と因数分解できることから \[ m = \frac{a}{2\sqrt{a\alpha + b}} \] を得る。

なお、 $n = (a^2 + 4bm^2)/(4am)$ を $m^2x^2 + (2mn - a)x + (n^2 - b) = 0$ に反映させて整理すると \[ m^2x^2 - \frac{a^2 - 4bm^2}{2a} x + \left(\frac{a^2 - 4bm^2}{4am}\right)^2 = 0 \] \[ \left(mx - \frac{a^2 - 4bm^2}{4am}\right)^2 = 0 \] となり、確かにこの( $x$ についての)2次方程式は重根 $\alpha = (a^2 - 4bm^2)/4am^2$ を持つ。これは、さきほど得られた $m = a/(2\sqrt{a\alpha + b})$ の両辺を二乗して $\alpha$ について解いたものと一致する。

3.1.2 連続関数の定義、例題(p.85)

初項が $x^2$であることが書かれていない。

初めから無限等比級数で考えてしまうと、 \[ f(x) = x^2 \left[ 1 + \frac{1}{1 + x^2} + \frac{1}{(1 + x^2)^2} + \cdots + \frac{1}{(1 + x^2)^n} + \cdots \right] \] に $x = 0$を代入する際に、 $f(0) = 0 \times (1 + 1 + \cdots ) = 0 \times \infty$ ?? などと悩んでしまう人が出ないだろうか。

念のために項数 $n + 1$の有限和 \[ f_n(x) = x^2 \left[ 1 + \frac{1}{1 + x^2} + \frac{1}{(1 + x^2)^2} + \cdots + \frac{1}{(1 + x^2)^n} \right] \] を考えると \[ f_n(x) = \left\{ \begin{array}{ll} 0 \times (1 + 1 + \cdots + 1) = 0 \times (n + 1) = 0 & (x = 0) \\ \displaystyle \frac{x^2 \left[ 1 - \left( \frac{1}{1 + x^2} \right)^n \right]}{1 - \frac{1}{1 + x^2}} & (x \neq 0) \end{array} \right. \] したがって \[ f(x) = \lim_{n \to \infty} f_n(x) = \left\{ \begin{array}{ll} 0 & (x = 0) \\ \displaystyle \frac{x^2}{1 - \frac{1}{1 + x^2}} = 1 + x^2 & (x \neq 0) \end{array} \right. \] となる。ここから、 $\displaystyle f(0) \neq \lim_{x \to 0} f(x) $が分かる。

3.1.4 ε-δ式論法、脚注1(p.89)

この場合、 $f(a)$の存在が必要なので、 $0$に関する不等号は含まれず、 $|x - a| < \delta$と表されることに注意すること.

前頁の「極限の定義」においては「 $0 <$」を欠くと誤りになるのに対し、ここでの「連続関数の定義」では、「 $0 <$」を付けても付けなくても正しい。付けると誤りになるという意味ではないことに注意。

4.1.2 定積分の性質(p.124)

上端,下端を入れ替えて \[ \int_{-\alpha}^{\alpha} f_{\rm odd}(x)dx = \int_{\alpha}^{-\alpha} f_{\rm odd}(-x)(-dx) = -\int_{-\alpha}^{\alpha} f_{\rm odd}(x)dx \]

簡潔に書かれているが、計算過程で意外に多くの手順を踏んでいる。丁寧に書けば、まず $t = -x$とおくと、 $dx = -dt$、積分範囲は $t = \alpha$から $t = -\alpha$までとなり、 \[ \int_{-\alpha}^{\alpha} f_{\rm odd}(x)dx = \int_{\alpha}^{-\alpha} f_{\rm odd}(-t)(-dt) \] さらに、(1)上端と下端の入れ替え、(2) $f_{\rm odd}(-t) = - f_{\rm odd}(t)$、(3) $-dt$、の3つの原因により、符号が3回反転して、結局マイナスが付くことになる。 \[ = - \int_{-\alpha}^{\alpha} f_{\rm odd}(t)dt \]

積分変数に用いる文字は何でも良いので、 $t$を $x$と書き換えれば本文と同じ結果が得られる。

第5章タイトル(p.137)

テイラー展開(Taylar's Expansion)

TaylarではなくTaylor。

5.1 テイラー多項式(p.139)

テイラー(R. Taylor, 1685-1731)多項式

Brook TaylorなのでB. Taylorが正しいと思われる。

5.2.1 剰余項を求める(p.142〜p.144)

ここでの式変形をきちんとたどれば、剰余項からひとつずつ新たな項を「絞り出す」過程が体験できる。その際に $(x - t)^k f^{(k)}(t)$なる関数の微分を考えることになるが、なぜそれを考えればうまく行くのか、説明することは難しい。そこで、逆に徹底的に天下りな説明として、初めから $(x - t)^k f^{(k)}(t)$ の微分を考えれば、より見通しよくTaylor展開を捉え直すことができるかも知れない。→Taylor展開の導出(PDFファイル)

6.1 指数法則(p.159)

指数を有理数に拡張しよう。

この箇所はよく理解できない。この本のどのページにも、「 $a^{1/m}$とは $\sqrt[m]{a}$のことである(と定める)」という記述がない。有理数の指数について初めて学ぶ人が、この説明で指数の拡張を理解することは困難であると思われる。

6.2.1 指数関数のグラフ(p.161)

本筋を見失わないようにするための配慮から、厳密に議論すると面倒な箇所はすべて「グラフから」という免罪符で済ましている。いろいろ疑問が生じる人も多いと思われるが、とりあえず結果を受け入れて読み進めるのが良い。

6.3.1 一般の指数法則(p.165〜p.166)

より直感的に納得するために。→exp(x)=Σ(x^k/k!)が指数法則を満たすこと(PDFファイル)

6.4.3 一般の底に対する指数法則(p.174)

\[ D_x a^x = a^x \ln a \]

この結果が得られた時点で、6.2.1(p.161)の結果 \[ \frac{da^x}{dx} = K_a a^x (K_a = \lim_{\Delta x \to 0} \frac{a^{\Delta x} - 1}{\Delta x}) \] と見比べてみれば、 $K_a = \ln a$であることが分かる。

このことは、 $a = e^{\ln a}$を用いて $K_a$を直接求めることでも確認できる。すなわち \[ \frac{a^{\Delta x} - 1}{\Delta x} = \frac{e^{(\ln a)\Delta x} - 1}{\Delta x} \] $h = (\ln a)\Delta x$とおけば \[ = \frac{e^h - 1}{h/\ln a} = \frac{e^h - 1}{h} \cdot \ln a \] $\Delta x \to 0$のとき $h \to 0$であり、 $\displaystyle \lim_{h \to 0} \frac{e^h - 1}{h} = 1$を用いて \[ K_a = \lim_{h \to 0} \left( \frac{e^h - 1}{h} \cdot \ln a \right) = \ln a \] となる。

以上により、 $K_a$の値( $K_2$、 $K_3$など)を知りたければ、あとは $\ln 2$、 $\ln 3$などの具体的な数値を待つのみとなる。これらの議論はp.182の「注意」にまとめて記されている。

6.5 対数関数の級数展開(p.178)

\[ \ln\frac{1 + x}{1 - x} = 2\left( x + \frac{1}{3}x^3 + \frac{1}{5}x^5 + \frac{1}{7}x^7 + \cdots \right) \]

$\displaystyle \ln (1 + x) = \int_0^x \frac{dt}{1 + t}$から導くことも可能。 $\displaystyle \ln(1 - x) = \int_0^{-x} \frac{ds}{1 + s}$において、 $t = -s$とおけば $\displaystyle \ln(1 - x) = \int_0^{x} \frac{-dt}{1 - t}$、したがって \[ \ln\frac{1 + x}{1 - x} = \ln(1 + x) - \ln(1 - x) = \int_0^x \frac{dt}{1 + t} - \int_0^{x} \frac{-dt}{1 - t} \] \[ = \int_0^x \left( \frac{1}{1 + t} + \frac{1}{1 - t} \right)dt = \int_0^x \frac{2}{1 - t^2} dt\] ここで \[ \frac{1}{1 - t^2} = 1 + t^2 + t^4 + \cdots + t^{2n} + \cdots \] と展開できる(収束域は $|t^2| < 1$)ので、項別積分により上記の結果を得る。

6.6 常用対数(p.184)

最後の $-1$は桁数には関係が無いので

心配な人のために。 $1$を引いて桁数が変わってしまうのは、もとの数がちょうど $10^n$( $n$は正の整数)で表される場合のみである。 $10^n$は $10$の倍数であり、ゆえに $5$の倍数でもあるはずなので、 $2^n$がそのようなケースに該当することはない。

7.2.2 余弦定理・正弦定理(p.195)

\[ b\sin B = c \sin C \]

$b\sin C = c\sin B$の誤り。

7.3 加法定理(図式解法)(p.196)

三角形BNPと三角形AMNは相似.よって, $\angle{\rm MAN}$は $\alpha$に等しく

$\angle{\rm BNP}$と $\angle{\rm ANM}$とは、ともに直角から $\angle{\rm MNB}$を差し引いたものなので等しい。すると直角三角形BNPとANMについて、残りの鋭角も等しくなる。

7.5.1 三角関数の性質、問題2(p.204、解答p.485〜p.487)

・問題

$\displaystyle \frac{17\pi}{12} = \pi + \frac{\pi}{12}$

$\displaystyle \frac{17\pi}{12} = \pi + \frac{5\pi}{12}$ の誤り。

・解答の表

$\displaystyle \sin \frac{23\pi}{12} = - \frac{\sqrt{6} + \sqrt{2}}{4}$

$\displaystyle - \frac{\sqrt{6} - \sqrt{2}}{4}$ の誤り。

・解答の表で、 $\displaystyle \frac{\sqrt{6} + \sqrt{2}}{4}$の値を $0.9659258$としている箇所と、 $0.9659259$としている箇所が混在している。

7.5.2 三角関数のグラフ(p.205)

$y = \sin x$のグラフで $x = \pi / 2$の辺りに $\pi$とあるが、実際にはもう少し右の、グラフと $x$軸との交点が $\pi$である。

7.9.2 逆三角関数の微分(p.220)

\[ \frac{d}{dx} {\rm Sin}^{-1}x = \frac{1}{d({\rm Sin\ }y)/dy} = \frac{1}{{\rm Cos\ } y} \]

変域 $[-\pi / 2, \pi / 2]$において, ${\rm Cos }y \geq 0$であるので

${\rm Cos}$は「 $\cos$の定義域を $[0, \pi]$に制限したもの」と定義したはずなので、ここで ${\rm Cos}$を用いるのは不適切ではないだろうか。

大文字で始まる三角関数は、もっぱら逆三角関数を定義するために導入されているが、それ以後の議論ではあまり有効な場面がなく、定義域が限定されていることに伴う不便さがむしろ目立つ。 例えば ${\rm Sin}$を用いなくとも、「 ${\rm Sin}^{-1}x = y$ ならば $\sin y = x$」という命題は正しいので(逆は正しくないが)、通常の(小文字の)三角関数を用いたほうが良いと思われる箇所が、ここ以外にもいくつか見られる。

7.9.2 逆三角関数の微分(p.221)

\[ {\rm Sin}^{-1} x = {\rm Tan}^{-1} \left( \frac{x}{\sqrt{1 - x^2}} \right) \]

とりあえず逆三角関数などを完全に忘れて、素朴な三角関数の知識から、 $-\pi/2 < \alpha < \pi/2$の範囲の $\alpha$に対して \[ \tan \alpha = \frac{\sin \alpha}{\sqrt{1 - \sin^2 \alpha}} \] が成り立つ。

同じ範囲で考えたとき、逆三角関数の定義からただちに、 $\alpha$は ${\rm Sin}^{-1} (\sin \alpha)$とも ${\rm Tan}^{-1} (\tan \alpha)$とも書けることが分かる。両者を等号で結び、上で得た関係を反映させれば \[ {\rm Sin}^{-1} (\sin \alpha) = {\rm Tan}^{-1} \left( \frac{\sin \alpha}{\sqrt{1 - \sin^2 \alpha}} \right) \] 見やすくするために $\sin \alpha$を $x$と書けば \[ {\rm Sin}^{-1} x = {\rm Tan}^{-1} \left( \frac{x}{\sqrt{1 - x^2}} \right) \] が得られる。

この等式は、「あるsin値が与えられて、もとの角度を割り出したいとき、 ${\rm Sin}^{-1}$を直接使えば良いのだが、sin値からtan値を計算しておき、あえて ${\rm Tan}^{-1}$を使って求めることもできる」という意味だと解釈することができる。

7.9.3 逆正接関数の級数展開、問題4(p.223、解答p.489)

解答では、直接テイラー展開する代わりに、導関数を求めて二項展開し、項別積分している。

二項展開の過程がテイラー展開の理論に裏打ちされている(5.3 一般の二項展開)ので、実質的にはここでテイラー展開を行なっていると言える。

積分定数に関する言及が無いが、 ${\rm Sin}^{-1} 0 = 0$から、積分定数は $0$となることが分かる。

9.6.2 行列に関する指数関数、例題(p.290)

単に $ \left\{ \begin{array}{l} \alpha = a - bi \\ \beta = a + bi \end{array} \right. $(逆でもよい)として計算すれば良いが、初めから代入すると計算が面倒。ここではできるだけ $\alpha, \beta$のまま整理してから代入してみる。

\[ e^Z = \frac{1}{\beta - \alpha} \left[ (e^{\beta} - e^{\alpha}) \left( \begin{array}{cc} a & -b \\ b & a \end{array} \right) - (\alpha e^{\beta} - \beta e^{\alpha} ) \left( \begin{array}{cc} 1 & 0 \\ 0 & 1 \end{array} \right) \right] \] \[ = \frac{1}{\beta - \alpha} \left[ \left( \begin{array}{cc} a(e^{\beta} - e^{\alpha}) & -b(e^{\beta} - e^{\alpha}) \\ b(e^{\beta} - e^{\alpha}) & a(e^{\beta} - e^{\alpha}) \end{array} \right) - \left( \begin{array}{cc} \alpha e^{\beta} - \beta e^{\alpha} & 0 \\ 0 & \alpha e^{\beta} - \beta e^{\alpha} \end{array} \right) \right] \] \[ = \frac{1}{\beta - \alpha} \left( \begin{array}{cc} (a - \alpha)e^{\beta} - (a - \beta) e^{\alpha} & -b(e^{\beta} - e^{\alpha}) \\ b(e^{\beta} - e^{\alpha}) & (a - \alpha) e^{\beta} - (a - \beta) e^{\alpha} \end{array} \right) \] $ \left\{ \begin{array}{l} \alpha = a - bi \\ \beta = a + bi \end{array} \right. $とすると $\left\{ \begin{array}{l} a - \alpha = bi \\ a - \beta = - bi \end{array} \right. $、 また $\beta - \alpha = 2bi$より \[ = \frac{1}{2bi} \left( \begin{array}{cc} bi(e^{\beta} + e^{\alpha}) & - b(e^{\beta} - e^{\alpha}) \\ b(e^{\beta} - e^{\alpha}) & bi(e^{\beta} + e^{\alpha}) \end{array} \right) \] \[ = \left( \begin{array}{cc} (e^{\beta} + e^{\alpha}) / 2 & - (e^{\beta} - e^{\alpha}) / 2i \\ (e^{\beta} - e^{\alpha}) / 2i & (e^{\beta} + e^{\alpha}) / 2 \end{array} \right) \] さて $ \left\{ \begin{array}{l} e^{\beta} = e^{a + bi} = e^a e^{bi} = e^a(\cos b + i\sin b) \\ e^{\alpha} = e^{a - bi} = e^a e^{-bi} = e^a(\cos b - i\sin b) \end{array} \right. $ から $ \left\{ \begin{array}{l} e^{\beta} + e^{\alpha} = 2e^a\cos b \\ e^{\beta} - e^{\alpha} = 2ie^a\sin b \end{array} \right. $、 これらを用いれば結果が得られる。

10.3 フーリエ級数、(p.301)

下から2段目〜最下段の変形が重要なので、自分で手を動かして納得する必要がある。 $C_m e^{imx}$と $C_{-m}e^{-imx}$とを組み合わせて考えると、これらは互いに実部が等しく、虚部は符号のみ異なる。したがって、両者を合計すると虚部は相殺され、実部は一方の2倍になる。このことから、 $m \geq 0$のみを考えた最下段の表現が可能となる。このとき、係数の2が残らないように、初めに(1/2)倍したものを考えるのである。

10.3 フーリエ級数、問題1(p.304、解答p.499)

$C_m$は $m = 1, 3$の場合だけ値を持ち

「 $C_m$は」となっているが、ここでは $f(x) = \displaystyle \frac{1}{2}a_0 + \sum_{m = 1}^{\infty} (a_m \cos mx + b_m \sin mx)$の表現を利用して、 $m \geq 0$のみを考慮して結果を得ている(p.301に関するノート参照)。

$\displaystyle f(x) = \frac{1}{2} \sum_{m = -\infty}^{\infty} C_m e^{imx}$で考えるなら、$m = -1, -3$の場合にも値を持つ。すなわち $C_{\pm 1} = 3/4, C_{\pm 3} = 1/4$から \[ \cos^3 x = \frac{1}{2} \left( \frac{1}{4} e^{-3ix} + \frac{3}{4} e^{-ix} + \frac{3}{4} e^{ix} + \frac{1}{4} e^{3ix} \right) \] これに $e^{i\theta} = \cos \theta + i \sin \theta$を用いれば、虚部が消えて結果を得る。

A.1 ユークリッドの互除法(p.311〜)

・全く初めて互除法を学ぶ人は、「《商》は、どーでもいい」ということを頭に入れておくと理解しやすいかもしれない。

・ここでは「 $A, B$は自然数(正の整数)であり、 $A > B$」という条件のもとで議論されている。正の整数以外に話を広げると面倒になるが、 $A, B$の大小関係については容易に拡張できる。

$A = B$のとき、初回の計算で $A \div B = 1$余り $0$となり、操作は停止して、「最大公約数は $B$」という正しい結果を得る。

$A < B$のとき、初回の計算で $A \div B = 0$余り $A$となり、次に $B \div A$を計算することになるので、 $A$と $B$の入れ替えが自動的に行なわれる。このとき、被除数の列は単調減少でなくなるが、それはあまり問題とならないように思われる。互除法の停止性は(被除数ではなく)除数と余りの列の単調減少性によって保証される。

同様に、プログラムに関しても「 $A, B$の大小を比較して、場合によっては入れ替える」という前処理は必須ではない。

A.1 ユークリッドの互除法(p.311)

$B = Db$と置いたあと、 $B = db$と置いている。 $d = D$であることは最後に言えることなので、当初から同じ $b$という文字を使うべきではない。

A.1 ユークリッドの互除法、モンテカルロ法のプログラム(p.314)

40 k=0:j=0
50 for j=1 to 10^i-1

40行の「j=0」の意図は不明。50行のforループではj=1から始まっているが、これでは $10^i$回ではなく $10^i - 1$回しかループが回らない。40行の「j=0」を削除し、50行を「for j=0 to 10^i - 1」とするのが自然であると思われる。

A.4 等差数列(p.322)

(中略)を加えて得られる数列を等差数列(arithmetric sequence)という。

arithmetric→arithmetic

A.5.1 数学的帰納法(p.323〜)

いくつかの例題で[2]のステップを証明する際に、「すべての自然数で成り立つと仮定する」という表現がなされているが、「 $n$以下のすべての自然数で」という意味であろう。

A.5.1 数学的帰納法、例題4(p.326〜)

\[ (\beta - \alpha)A^{n}A = \cdots = (\beta^{n + 1} - \alpha^{n + 1})A - (\alpha^{n + 1}\beta - \alpha\beta^{n + 1})E \]

式変形の最終行、 $A$の後の符号はマイナスではなくプラス。

A.6 整数論の基本定理◆定理[2](p.329)

ここでの証明の記述法は少し「玄人向け」なところがあって、つまづくかもしれない。以下では、「証明の筋が通るようにするためには、ここではこのように解釈すべきであろう」という補足を行なうが、「このように書かれていれば、常にそのように解釈されるべき」ということではない。

\[ C = \alpha \beta \gamma \times \cdots \times \delta = \alpha' \beta' \gamma' \times \cdots \times \delta' \]

素因数分解の一意性は素数の並ぶ順序を問わないので、順序だけが異なる分解については同じ $(\alpha, \beta, \gamma, \cdots, \delta)$で代表する方針を採っている。例えば $(\alpha, \beta, \gamma, \delta) = (2, 2, 3, 5)$と $(5, 2, 3, 2)$とでは異なるように見えるが、ここでは同一視している。素数を小さい順から並べる( $\alpha \leq \beta \leq \gamma \leq \cdots \leq \delta$)などと取り決めれば扱いやすくなるかも知れないが、この証明ではそのようなルールは導入されていない。

「 $\alpha = \alpha'$ならば」という仮定は、ある順序で書いたときにたまたま先頭に来たもの同士を比較しているのではなく、 $\{\alpha, \beta, \gamma, \cdots, \delta\}$と $\{\alpha', \beta', \gamma', \cdots, \delta'\}$に共通する要素が少なくともひとつ存在するならば、という強い仮定である。「 $\alpha = \alpha'$となるように書けるならば」と言い換えてもよい。そこから矛盾が導かれれることにより、ある素因数分解に対し、もうひとつ別の分解法があるとすれば、それは一部を書き換えただけのようなものではなく、元の分解には含まれない素数だけによって書かれているはずであることが分かる。

そこで, $\alpha > \alpha'$とし

もちろん $\alpha < \alpha'$となるかも知れないが、その場合は $\alpha, \beta, \gamma, \cdots , \delta$と $\alpha', \beta', \gamma', \cdots, \delta'$を入れ替えれば同様の議論が成り立つ。

素数 $\alpha'$は,式中のどの数とも異なるので,

この「式中のどの数とも異なる」は意味が分からないが、左辺の $\alpha - \alpha', \beta, \gamma, \cdots, \delta$のどれとも異なる、という意味だと考えれば、証明の筋が通る。

A.9 連分数、例題2(p.337〜)

とりあえず連分数のことを忘れて、無理数に対する互除法に慣れ親しんでみよう。

これまで整数のみに適用してきたユークリッドの互除法を拡張し、実数 $a, b$に対しても適用する。商や余りに何の制約も与えなければ、 $a = qb + r$となる $q, r$は定まらないが、 $q$を「 $a / b$の整数部分」と定めれば、余り $r$は $r = a - qb$によって求まり、 $q, r$は一意に定まる。このルールは $a, b$が整数の場合の互除法を自然な形で含むものとなっている。

例えば最初の $\sqrt{2} \div 1$は、 $\sqrt{2} = 1.414 \cdots$の整数部分が $1$であるため、商として $1$が立っているのである。すると余りは $\sqrt{2} - 1 \times 1$と求まる。

$\sqrt{2} \div 1 = 1 $余り $\sqrt{2} - 1$

次に互除法の手順にのっとり、$1 \div (\sqrt{2} - 1)$を考えることになる。商は $1 / (\sqrt{2} - 1)$の整数部分であるが、いま $1 / (\sqrt{2} - 1) = 1 + \sqrt{2} = 2.414 \cdots$ から、商は $2$である。すると余りは $1 - 2(\sqrt{2} - 1) = 3 - 2\sqrt{2}$となる。

$1 \div (\sqrt{2} - 1) = 2 $余り $3 - 2\sqrt{2}$

次は $(\sqrt{2} - 1) \div (3 - 2\sqrt{2})$ であるが、不思議なことに $(\sqrt{2} - 1) / (3 - 2\sqrt{2}) = 1 + \sqrt{2}$となり、前回と全く同じ値になるので、やはり商は $2$である。同様に余りを計算して

$(\sqrt{2} - 1) \div (3 - 2\sqrt{2}) = 2 $余り $5\sqrt{2} - 7$

さらに計算してみると分かるが、いくら続けても $a/b$は $1 + \sqrt{2}$となり、商 $2$が立ち続ける。

これが偶然ではないことを納得するために、 $\sqrt{2} - 1$が現れたら即座に $\displaystyle \frac{1}{1 + \sqrt{2}}$に置き換えるという方針で、上記の計算を書き直してみよう。

$\displaystyle \sqrt{2} \div 1 = 1 $余り $\displaystyle \sqrt{2} - 1 = \frac{1}{1 + \sqrt{2}}$

$\displaystyle 1 \div \frac{1}{1 + \sqrt{2}} = 2 $余り $\displaystyle \frac{\sqrt{2} - 1}{1 + \sqrt{2}} = \frac{1}{(1 + \sqrt{2})^2}$

$\displaystyle \frac{1}{1 + \sqrt{2}} \div \frac{1}{(1 + \sqrt{2})^2}= 2 $余り $\displaystyle \frac{\sqrt{2} - 1}{(1 + \sqrt{2})^2} = \frac{1}{(1 + \sqrt{2})^3}$

このように書けば、 $a/b$が常に $1 + \sqrt{2}$となることも頷ける。

A.9 連分数

\[ \left( \begin{array}{cc} Q_n & Q_{n - 1} \\ P_n & P_{n - 1} \end{array}\right) = \left(\begin{array}{cc} q_1 & 1 \\ 1 & 0 \end{array}\right) \left(\begin{array}{cc} q_2 & 1 \\ 1 & 0 \end{array}\right) \times \cdots \times \left(\begin{array}{cc} q_{n - 1} & 1 \\ 1 & 0 \end{array}\right) \left(\begin{array}{cc} q_n & 1 \\ 1 & 0 \end{array}\right) \]

これを導いてみよう。 $x_n$から $x_{n + 1}$を作ろうとすると意外に難しい。発想を転換して、連分数の「後端」 $n$を固定し、「前端」を $q_1$と固定せずに $q_m$( $1 \leq m \leq n$)としたものを考え、 $x_n (m)$と書くことにする。例えば \[ x_4 (2) = q_2 + \frac{1}{q_3 + \frac{1}{q_4}} \] である。この $x_n (m)$を用いれば、$x_n = x_n(1)$、また $q_n = x_n (n)$ と書ける。

連分数の作り方から \[ \left\{ \begin{array}{l} x_n (n) = q_n \\ \displaystyle x_n (m - 1) = q_{m - 1} + \frac{1}{x_n (m)} \ \ \ (1 < m \leq n) \end{array} \right. \] が成り立つ。以降、「連分数を後ろから前に向かって伸ばしながら作る」というイメージを持てば理解しやすい。

いま、 $\displaystyle x_n (m) = \frac{Q_n (m)}{P_n (m)}$と書けるためには、 $Q_n (m)$と $P_n (m)$が \[ \left\{ \begin{array}{l} \displaystyle \frac{Q_n (n)}{P_n (n)} = q_n \\ \displaystyle \frac{Q_n (m - 1)}{P_n (m - 1)} = q_{m - 1} + \frac{1}{\frac{Q_n (m)}{P_n (n)}} \ \ \ (1 < m \leq n) \end{array}\right. \] を満たせばよく、第2式の右辺を整理すれば \[ q_{m - 1} + \frac{P_n (m)}{Q_n(m)} = \frac{q_{m - 1} Q_n (m) + P_n (m)}{Q_n (m)} = \frac{q_{m - 1} Q_n (m) + 1 \cdot P_n (m)}{1 \cdot Q_n (m) + 0\cdot P_n (m)} \] となる。したがって \[ \left\{ \begin{array}{l} \left( \begin{array}{c} Q_n (n) \\ P_n(n) \end{array}\right) = \left(\begin{array}{c} q_n \\ 1 \end{array}\right) \\ \left( \begin{array}{c} Q_n (m - 1) \\ P_n (m - 1) \end{array} \right) = \left( \begin{array}{cc} q_{m - 1} & 1 \\ 1 & 0 \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} Q_n (m) \\ P_n(m) \end{array} \right) \ \ \ (1 < m \leq n) \end{array} \right. \] によって $Q_n (m), P_n (m)$を定めれば、これらが $x_n (m)$の分子と分母を与える。

上の漸化式を繰り返し用いると \[ \left( \begin{array}{c} Q_n (1) \\ P_n (1) \end{array}\right) = \left(\begin{array}{cc} q_1 & 1 \\ 1 & 0 \end{array}\right) \left(\begin{array}{cc} q_2 & 1 \\ 1 & 0 \end{array}\right) \times \cdots \times \left(\begin{array}{cc} q_{n - 1} & 1 \\ 1 & 0 \end{array}\right) \left(\begin{array}{c} q_n \\ 1 \end{array}\right) \] が得られる。

A.10 無理数であることの証明

$\pi$が無理数であることの証明は、Nivenの証明に基づいていると思われる。参照:πが無理数であることの証明を理解するために(PDFファイル)

A.11 ピタゴラス数の一般解

突然「 $m - n$は奇数」という条件が登場するが、この文脈だけを読んで理解するのは不可能なので心配しなくてよい。これは原始ピタゴラス数(3者の最大公約数が1であるようなピタゴラス数)を考える際に付加される条件である。

A.13 代数方程式の代数的解法(p.356)

\[ x^{n-1} = \left( y - \frac{a_1}{na_0} \right)^{n-1} = y^{n-1} - \frac{a_1}{a_0}y^{n-2} + \cdots, \]

$ \displaystyle y^{n-1} - \frac{(n-1)a_1}{na_0}y^{n-2} + \cdots $ が正しいと思われる。

A.13.1 一次方程式の解法(p.356)

両辺を $a$ で割り,未知数を \[ x = y - \frac{b}{a} \] と置き換えると \[ 0 = \left( y - \frac{b}{a} \right) + \frac{b}{a} = y \]

簡単すぎて迷うかもしれない。方程式の両辺を $a$ で割ると \[ x + \frac{b}{a} = 0 \] 上記の置き換えを適用すると \[ \left(y - \frac{b}{a}\right) + \frac{b}{a} = 0 \] 左辺を計算すれば \[ y = 0 \] これで $y$ について解けたことになり、さらに「未知数を元に戻して……」と繋がる。

A.13.3 三次方程式の解法◆根の判別式の一般理論(p.359)

このA.13.3節では $x = y - C$ ( $C$ は定数)という置換が頻繁に登場するが、この置換を行うと方程式の解は一斉に $C$ だけ変化するので、対応する解同士の差は変わらず、したがって判別式の値も変化しないことに注意。

A.13.3 三次方程式の解法◆根の判別式の一般理論(p.359)

まず大前提として、「実係数の $n$ 次方程式」に限った議論であることに注意。このとき、「方程式が虚根を持つ場合には、必ず共役な組がセットで根となる」という重要な定理が成り立つ。このため、 $P$ は必ず実数または純虚数となり、 $D$ は実数となる。

$D > 0$ :重根を含まない,

$D = 0$ :少なくとも一組の重根がある,

$D < 0$ :共役な虚根を含む

「重根を持つかどうか」と「実根・虚根」の問題を一度に論じると誤解を生じやすい。2次・3次方程式程度であればケースが限定されるので易しいが、次数が上がるとさまざまなケースが出てくる。例えば2組の共役虚根を持つ4次方程式では $D > 0$ となるし、 $(x^2 + 1)^2 = 0$ のように虚重根を持つものもある。

重根については「 $D = 0$ ⇔ 重根を持つ」( $D \neq 0$ ⇔ 重根を持たない)が成り立ち、それとは切り分けて「 $D < 0$ ⇒ (共役な)虚根を持つ」あるいは「実根のみ ⇒ $D \geq 0$」と理解するのがよい。「⇒」の逆は成り立たず、 方程式が虚根を持つにもかかわらず $D \geq 0$ となる場合がある。

A.13.3 三次方程式の解法◆三次方程式の根の判別式(p.360)

判別式を,方程式の係数で書き直そう.根と係数の関係を用いて \[ a(\alpha - \beta)(\alpha - \gamma) = 3a\alpha^2 + 2b\alpha + c, \]

この変形を左辺から右辺に向かって行うのは技巧的。右辺を計算して左辺になることを確認して納得すればよい。あとの「A.14 導関数を用いた判別式の表現」を読めば納得できる変形である。

以下では、もっと愚直な方法で見通しよく計算する方法を示すが、煩雑であることに変わりはない。

$f(x,y,z) = x + y + z,\ g(x,y,z) = xy + yz + zx,\ h(x,y,z) = xyz$ と置く。これらを用いて、 $u(x,y,z) = x^2 + y^2 + z^2$ および $v(x,y,z) = x^3 + y^3 + z^3$ を表しておく。

$(x + y + z)^2 = x^2 + y^2 + z^2 + 2(xy + yz + zx)$ から、 $f^2 = u + 2g$ 、したがって $u = f^2 - 2g$ 。

また $x^3 + y^3 + z^3 - 3xyz = (x + y + z)(x^2 + y^2 + z^2 - xy - yz - zx)$ から $v - 3h = f(u - g)$ 、したがって $v = f(u - g) + 3h= f[(f^2 -2g)- g] + 3h = f^3 - 3fg + 3h$ 。

以上により $\alpha^2 + \beta^2 + \gamma^2$ や $\alpha^3 + \beta^3 + \gamma^3$ を基本対称式によって表すことができるが、判別式の計算においては $\alpha^2\beta^2 + \beta^2\gamma^2 + \gamma^2\alpha^2$ や $\alpha^3\beta^3 + \beta^3\gamma^3 + \gamma^3\alpha^3$ も登場するので、これらに対しても準備しておこう。以下では $f(\alpha, \beta, \gamma)$ などを単に $f$ などと書くことにし、 $f(\alpha\beta, \beta\gamma, \gamma\alpha)$ などを大文字で $F$ などと書くことにする。 \[ \begin{array}{l} F = \alpha\beta + \beta\gamma + \gamma\alpha = g, \\ G = \alpha\beta\cdot\beta\gamma + \beta\gamma\cdot\gamma\alpha + \gamma\alpha\cdot\alpha\beta = (\beta + \gamma + \alpha)\alpha\beta\gamma = fh, \\ H = \alpha\beta\cdot\beta\gamma\cdot\gamma\alpha = h^2 \end{array} \] と還元できるので、 \[\begin{array}{l} \alpha^2\beta^2 + \beta^2\gamma^2 + \gamma^2\alpha^2 = U = F^2 - 2G = g^2 - 2fh, \\ \alpha^3\beta^3 + \beta^3\gamma^3 + \gamma^3\alpha^3 = V = F^3 - 3FG + 3H = g^3 - 3gfh + 3h^2 \end{array} \] と求まる。

$(\alpha - \beta)^2(\beta - \gamma)^2(\gamma - \alpha)^2$ を展開し、次数の構成ごとにまとめると、 $\alpha^4\beta^2$ などの項、 $\alpha^4\beta\gamma$ などの項、 $\alpha^3\beta^3$ などの項、 $\alpha^3\beta^2\gamma$ などの項、 $\alpha^2\beta^2\gamma^2$ の項、の5種類に分類でき、それぞれ $uU - 3h^2$、 $- 2hv$ 、 $ - 2V$ 、 $2h(fg - 3h)$ 、 $- 6h^2$ と書ける。これらに、上記で求めた $u, v, U, V$ を代入して合計すれば $- 4g^3 - 27h^2 - 4f^3h + f^2g^2 + 18fgh$ となる。さらに $f = -b/a, g = c/a, h = -d/a$ を適用して全体を $a^4$ 倍すれば、 $a,b,c,d$を用いた $D$ の表式が得られる。

A.13.3 三次方程式の方法◆タルタリア‐カルダノによる解法(p.364)

……組み合わせは3種類になる. $u, v$の実根を……

$u^3, v^3$ は一般に複素数として求まるため、実数の3乗根の場合のように唯一の実根が存在するわけではないので、これは誤記ではないかと思われる。 $u^3$ の3乗根 $u_1$ を任意に選び、その相手として $u_1v_1 = -p/3$ を満たすような $v_1$ を選べばよい。どれを選んでも、最終的な3次方程式の根の集合としては同じ結果になる。

なお $u^3 = 0$ となったとき( $p = 0$ のときに起こる)は $u_1 = 0$ の相手 $v_1$ をどれにするか定まらないが、 $u_1 = u_2 = u_3 = 0$ であるので、どれを選んでも同じ結果を生む。

根を吟味する.

タルタリア・カルダノの方法は複素係数の3次方程式に対して用いることが可能であるが、本書では実係数の場合のみを念頭に置いていると思われる。特に判別式を用いた根の種類についての議論は、実係数の場合にしか成り立たないので注意。

すなわち, $u^3, v^3$ は共役なので, $u,v$ も共役になる.

$u = r_u\exp(i\theta_u), v = r_v\exp(i\theta_v)$ と置くと、 $u^3 = {r_u}^3\exp(3i\theta_u)$ と $v^3 = {r_v}^3\exp(3i\theta_v)$ が共役であることから ${r_u}^3 = {r_v}^3$ (したがって $r_u = r_v$ )かつ $3(\theta_u + \theta_v) = 2m\pi$ ( $m$ は整数)。いっぽう $uv$ が $-p/3$ という実数に等しいことから $\theta_u + \theta_v = n\pi$ ( $n$ は整数)、ゆえに $3(\theta_u + \theta_v) = 3n\pi$ 。したがって $3(\theta_u + \theta_v)$ は $6\pi$ の整数倍であり、 $\theta_u + \theta_v$ は $2\pi$ の整数倍である。これと $r_u = r_v$ から $u$ と $v$ が共役であることが分かる。

A.14 導関数を用いた判別式の表現(p.367)

ここで,上式のすべての積:

最下行の式で $(\alpha_n - \alpha_4)$ となっている箇所があるが、 $(\alpha_n - \alpha_3)$ の誤り。

A.15 高次方程式の例題を解く(p.370〜)

どの例題においても、簡約された方程式の係数を、 $q = \frac{2b^3}{27a^3} - \frac{bc}{3a^2} + \frac{d}{a}$ などを用いて計算している。この方法は機械的に係数を求めることができて便利であるが、「公式」を記憶しないといけないというわけではない。例えば例題1なら、 $x = y + 2$ と置き換えるので、 $(y + 2)^3 - 6(y + 2)^2 + 12(y + 2) - 8 = 0$ を展開・整理すれば同じ結果が得られる。

A.15 高次方程式の例題を解く◆例題3(p.372)

結果は正しいが、計算過程に符号の誤りが複数ある。

\[ u^3 = -\frac{q}{2} + \frac{1}{6}\sqrt{-\frac{D}{3}} = \frac{10 + 6\sqrt{3}}{27}, v^3 = -\frac{q}{2} - \frac{1}{6}\sqrt{-\frac{D}{3}} = \frac{-10 + 6\sqrt{3}}{27} \]

$v^3$ の分子は $10 - 6\sqrt{3}$ 。

\[ u_1 = \frac{1 + \sqrt{3}}{3}, v_1 = - \frac{1 + \sqrt{3}}{3} \]

$v_1$ は $\displaystyle \frac{1 - \sqrt{3}}{3}$ 。なお、この $v_1$ は、恣意的に選んだ $u_1$ から $u_1v_1 = -2/3$ によって与えられることに注意。

\[ y_1 = \frac{1 + \sqrt{3}}{3} - \frac{\sqrt{3} - 1}{3} = \frac{2}{3} \]

ここは誤ってはいないが、 $v_1$ を代入した箇所は、そこまでの誤植がなければ $ \displaystyle + \frac{1 - \sqrt{3}}{3}$ と書かれていただろうと思われる。

\[ y_2 = \cdots \\ = \frac{1}{3} \left( \frac{-1+\sqrt{3}i}{2} + \frac{-1-\sqrt{3}i}{2} \right) + \frac{\sqrt{3}}{3} \left( \frac{-1+\sqrt{3}i}{2} + \frac{-1-\sqrt{3}i}{2} \right)\]

後半の 括弧内の2つの分数を繋ぐプラスは、正しくはマイナスになる。

A.15 高次方程式の例題を解く◆例題4(p.374)

\[ y_3 = \cdots = e^{-i2\pi/3}e^{i\pi/12} + e^{i2\pi/3}e^{-i\pi/12} \\ = 2\cos\left(\frac{4\pi}{3} + \frac{\pi}{12}\right) = \cdots \]

$e^{\mp i(2\pi/3)} = e^{\pm i(4\pi/3)}$ (複号同順)を用いている。あるいは直接 $\cdots = \displaystyle 2\cos\left(\frac{-2\pi}{3} + \frac{\pi}{12}\right) = 2\cos\left(-\frac{7\pi}{12}\right)$ とし、 $\cos(x - \pi) = - \cos x$ から、これは $\displaystyle - 2\cos\left(\frac{5\pi}{12}\right)$ に等しい、と考えてもよい。

\[ x = \frac{\sqrt{6} + \sqrt{2}}{2} - 1, -1 - \sqrt{2}, -\frac{\sqrt{6} - \sqrt{2}}{2} \]

末尾の解から $1$ を引くのを忘れている。 $\displaystyle -\frac{\sqrt{6} - \sqrt{2}}{2} - 1$ 。

A.15 高次方程式の例題を解く◆例題5(p.374〜)

ただし,このままでは収束が遅いので,

電卓を用いると ${\rm Tan}^{-1} (-3\sqrt{3}/5) = -0.804633677$ が得られる。これと $\cos\theta, \sin\theta$ の符号から、 $\theta = (-0.804633677 + \pi) + 2n\pi = 2.33695898 + 2n\pi$ ( $n$ は整数)となる。テキストで計算された $\phi$ から $\theta$ を求めると $(3\pi/4) - 0.0192355 = 2.33695899$ となり、確かに良い近似を得ている。

「このままでは」というのは、直接 ${\rm Tan}^{-1} (-3\sqrt{3}/5)$ を級数展開する方法を指すと思われるが、そもそも $-3\sqrt{3}/5 = -1.039\cdots < -1$ であるので、収束域から外れてしまっている。

$\phi$ や $\phi/3$ がゼロにきわめて近いことから、 $\cos(\theta/3), \sin(\theta/3)$ を求める際にも、 $\theta = (3\pi/4) - \phi$ と書き戻してしまわずに、 $\phi$ を用いることで良い近似が得られる。発想の順序としては、「 $\cos\theta, \sin\theta$ の値から、 $\theta$ は $3\pi/4$ よりわずかに小さいことが分かる。そこで、 $\phi = 3\pi/4 - \theta$ と置き換えて近似しよう」ということである。

\[ \tan\theta = \tan\left( \frac{3\pi}{4} - \phi \right) = \frac{1 + \tan\phi}{1 - \tan\phi} = - \frac{3\sqrt{3}}{5} \]

$\displaystyle \tan\left(\frac{3\pi}{4} - \phi\right) = \frac{\tan(3\pi/4) - \tan\phi}{1 + \tan(3\pi/4)\tan\phi} = \frac{-1 - \tan\phi}{1 - \tan\phi}$ であるので、右から二つ目の分数式の前にマイナスを付ける必要がある。その後の計算は正しい。

$\tan\phi$ の展開公式の三乗の項まで取って

$\tan\phi$ の展開公式というより、 ${\rm Tan}^{-1}$ の展開公式(7.9.3節)。

これらを代入して \[ y_1 = \cdots \\ y_2 = 2\times\frac{\sqrt{13}}{3} \times \cos\left(\frac{2\theta}{3}+\frac{\theta}{3}\right) \cdots \\ y_3 = 2\times\frac{\sqrt{13}}{3} \times \cos\left(\frac{4\theta}{3}+\frac{\theta}{3}\right) \cdots \]

$y_2$ の $\2\theta/3$ と $y_3$ の $4\theta/3$ は、それぞれ $2\pi/3$ と $4\pi/3$ 。

A.15 高次方程式の例題を解く◆例題6(p.377)

簡約された方程式は \[ y^4 - \frac{5}{2}y^2 + \frac{9}{16} = 0 \] となるが、今回のケースでは $y^3$ だけでなく $y$ の項もゼロになっており、左辺は $y$ についての複2次式である。このため、容易に \[ \left(y^2 - \frac{9}{4}\right)\left(y^2 - \frac{1}{4}\right) = 0 \] と因数分解できてしまい、 $y = \pm 3/2, \pm 1/2$ を得る。実は、注17で避けられた「 $\Omega - p$ をゼロにする解」は、この因数分解に対応している。

一般には $y$ の係数がゼロにならないため、因数分解が容易ではないが、これを平方完成を経て機械的に行う方法を与えてくれるのがフェラーリの方法である。

例として $y^4 + 2y^2 - 4y + 8 = 0$ を考える。無計画に平方完成して、例えば $(y^2 + 1)^2$ という形を作ってみても、 \[ (y^2 + 1)^2 = 4y - 7 \] となってしまう。あるいは $(y^2 + 2)^2$ にしてみても \[ (y^2 + 2)^2 = 2y^2 + 4y - 4 \] となって行き詰まる。しかし、右辺が完全平方式になっていれば前に進むことができる。そこで、 $(y^2 + \lambda)^2$ という形に平方完成したときに希望を満たしてくれる $\lambda$ を探しに行くことにする。上記の試行錯誤を $\lambda$ によって一般的に書けば、もとの方程式は \[ (y^2 + \lambda)^2 = (2\lambda - 2)y^2 + 4y + (\lambda^2 - 8) \cdots\cdots(*) \] と変形される。

$\lambda \neq 1$ のもとで右辺を平方完成すると \[ (2\lambda - 2)\left(y + \frac{2}{2\lambda - 2}\right)^2 - \frac{4 - (2\lambda - 2)(\lambda^2 - 8)}{2\lambda - 2} \] となるので、末尾の分子がゼロになればよく、 \[ 4 - (2\lambda - 2)(\lambda^2 - 8) = 0 \] を満たす $\lambda$ がひとつでも見つかればよい。これは「(*)の右辺=0」とおいた方程式の判別式がゼロとなる条件と考えてもよい。この条件が「分解方程式」に相当し、これは3次方程式であるので既に代数的解法が与えられている。今回の解は $\lambda = 3, -1 \pm \sqrt{3}$ であるが、ここでは $\lambda = 3$ を用いて、改めてもとの方程式を変形してみる。すると \[ (y^2 + 3)^2 = 4y^2 + 4y + 1 \] となり、確かに右辺は $(2y + 1)^2$ という完全平方式になる。 $(y^2 + 3)^2 - (2y + 1)^2 = 0$ として左辺を因数分解すれば \[ (y^2 + 2y + 4)(y^2 - 2y + 2) = 0 \] となり、解 $y = -1 \pm \sqrt{3}i, 1 \pm i$ を得る。

このようにフェラーリの方法は、任意の4次式を二次式の積に因数分解する手順を与える。4つの根を2つずつ組にする方法は3通りあるので、因数分解の方法も3通り考えられる(重根の場合は因数分解の方法も「重なる」)。これが分解方程式(3次方程式)の根のひとつひとつに対応する。このとき、共役な虚根の組を持つ2次式に因数分解されるとは限らないので、 $\lambda$ の選び方によっては2次式の係数が虚数にならざるを得ないことに注意を要する。

A.16 部分分数分解(p.380)

$f(x)$ は実数値をとるので,部分分数の虚根を有する部分は,二項ずつ複素共役になっている.

ここは理解困難であった。「いま、我々は有理式 $f(x) = P(x)/Q(x)$ の分母 $Q(x)$ が実係数の多項式であるものだけを考えているので」という意味であろうか。このとき、確かに虚根は必ず共役なペアで登場する。さらに、 $P(x)$ も実係数であるならば、部分分数に分けたときの分母 $x - \beta$ ( $\beta$ は虚数)に対応する分子と、 $x - \beta^*$ に対応する分子とは共役になる。これは $c_i = P(\alpha_i)/Q^{(1)}(\alpha_i)$ において、 $P(x)$ も $Q^{(1)}(x)$ も実係数となるために、 $P(\beta^*)/Q^{(1)}(\beta^*) = [P(\beta)/Q^{(1)}(\beta)]^*$ が成り立つからである。

A.17 有理関数の積分(p.385〜p.386)

一般の $J_m$ に対しては \[ J_m = \cdots \\ = \frac{1}{c^2}\left[\int\frac{1}{(t^2+c^2)^{m-1}}dt - \int\frac{t}{(t^2+c^2)^m} tdt \right] \\ = \frac{1}{c^2}\left[ J_{m-1} - \left(I_m t - \frac{1}{2(1-m)}J_{m-1}\right)\right] \]

ここは部分積分を用いている。まず、 $I_m$ の計算結果を用いて \[ \int I_m dt = \frac{1}{2(1-m)}\int\frac{dt}{(t^2+c^2)^{m-1}} = \frac{1}{2(1-m)}J_{m-1} \] と書けることを注意しておく。

$ \displaystyle \int\frac{t}{(t^2+c^2)^m} tdt $ の箇所を部分積分で求める。この積分は $I_m$ の定義から $\displaystyle \int ({I_m}' \cdot t)dt$ と書ける。 $I_m \cdot t$ を $t$ で微分すると \[ (I_m \cdot t)' = {I_m}' \cdot t + I_m \cdot t' \] 両辺を $t$ で積分して \[ \int (I_m \cdot t)' dt = \int ({I_m}' \cdot t) dt + \int (I_m \cdot t')dt \] 左辺は $I_m \cdot t$ に戻り、右辺第1項は求めたい積分( $K$ とする)である。また第2項は $\int I_m dt$ であるので、冒頭のとおり書き換えることができ、\[ I_m \cdot t = K + \frac{1}{2(1-m)}J_{m-1} \] を得る。

\[ J_m = \int \frac{dt}{(t^2+c^2)^m} = \frac{1}{c^2}\left[ \frac{t}{2(1-m)(t^2+c^2)^{m-1}} + \frac{2m-3}{2(m-1)} J_{m-1} \right] \]

$1/c^2$ の前にマイナス符号が必要。

三角関数の有理関数は $\tan (x/2) = t$と置くことにより
(中略) $\displaystyle \frac{dx}{dt} = \frac{1}{1+t^2}$
となるので,

$\displaystyle \frac{dx}{dt} = \frac{2}{1 + t^2}$の誤り。

A.18 一階線形微分方程式の解の公式◆Q(t)≠0の場合(p.387〜p.388)

いろいろ式変形しているうちにいつの間にか解けてしまっているような印象を受けるかも知れない。

\[ \frac{dx}{dt} = P(t)x(t) + Q(t) \cdots\cdots(1)\] を解くために、 \[ x(t) = f(t) \exp[H(t)] \cdots\cdots(2) \] と置く。ただし、 $H(t)$ は $P(t)$ の原始関数のひとつを任意にとって固定したものであり、既知の関数である。テキストでやっていることは、(2)を用いて(1)を $f(t)$ についての微分方程式に書き換え、それを解くことに相当する。

(2)を(1)に代入すれば \[ \frac{d}{dt}\{f(t) \exp[H(t)]\} = P(t) \cdot f(t) \exp[H(t)] + Q(t) \] \[ \frac{df}{dt}\exp[H(t)] + f(t)\exp[H(t)] \cdot \frac{dH}{dt} = P(t) \cdot f(t) \exp[H(t)] + Q(t)\] $dH/dt = P(t)$ に注意し、両辺に共通する項を消約すると \[ \frac{df}{dt} \exp[H(t)] = Q(t) \] すなわち \[ \frac{df}{dt} = \frac{Q(t)}{\exp[H(t)]} \] を得る。これを解くには両辺を $t$ で積分するだけでよい。つまり、(2)の置換により(1)が解きやすい形に書き換えられたのである。 \[ f(t) = \int \frac{Q(t)}{\exp[H(t)]} dt \] から \[ x(t) = f(t) \exp[H(t)] = \left\{ \int \frac{Q(t)}{\exp[H(t)]} dt \right\} \exp[H(t)]\]という解が得られる。

なお、テキストでは原始関数を $\int_0^t$ という不定積分の形で書いており、積分変数が衝突しないように、適宜文字を変えて表記している。

A.19 行列形式による微分方程式の解法・例題2(p.395〜p.396)

公式の導出過程に密着した形で解き直してみる。(PDFファイル)

このとき,上式の $\omega \to \omega_0$ の極限は $0/0$ の不定形となる.

ここまでの議論では、積分計算の際に $\omega \neq \omega_0$ を仮定している箇所があるために、 $\omega = \omega_0$ の場合については別途議論しなければならない。ここでは $\omega \to \omega_0$ の極限を考えているが、 $\omega = \omega_0$ の場合を正攻法で考えることもできる。上記のPDFファイルの末尾に計算の概要を示した。

その結果,解 $x(t)$ は周期性を失う.

「周期性を失う」とは、振動が起こらないという意味ではないことに注意。

この微分方程式は、「強制調和振動子」の名のとおり、右辺第1項(バネの復元力などにあたる)に加えて、外から力(第2項)を及ぼしたときの物体の運動を記述するものである。 $\omega = \omega_0$ という状況は、例えばブランコの往復にタイミングを合わせて力を加えればどんどん揺れ幅が大きくなる、といった現象に対応している。

A.19 行列形式による微分方程式の解法・例題3(p.397〜)

\[ \frac{d^2 x}{dt^2} + 2\gamma\frac{dx}{dt} + \omega_0^2 = 0 \]

初めの数箇所だけ $\omega_0$ が用いられているが、その後は $\Omega_0$ と書かれている。

[2] $\gamma < \Omega_0$ の場合, $\Omega$ は虚数になるので, $\Omega \Rightarrow i\Omega$ と置き換える.

$\Omega$ は純虚数になるので、 $\Omega$ の虚部、つまり $\Omega = i\eta$ ( $\eta$ は実数)の $\eta$ の部分を用いて解を表したほうが分かりやすかろう、ということである。同じ $\Omega$ という文字を用いるのが分かりにくければ、他の文字を用いればよい。

[3] $\gamma = \Omega_0$ の場合,[2]において $\Omega \to 0$ とすると

これも例題2同様、初めの方程式に戻って $\Omega_0 = \gamma$ の場合を考えることもできる。このとき、 $B = \left(\begin{array}{cc} 0 & 1 \\ - \gamma^2 & -2\gamma \end{array}\right)$ であり、 $\exp[tB] = \exp[-\gamma t] \left(\begin{array}{cc} 1 + \gamma t & t \\ -\gamma^2 t & 1 - \gamma t \end{array}\right)$ となる。これを用いて計算した $\exp[tB] {\mathbf X}_0$ は、テキストの結果で $\Omega_0 = \gamma$ としたものに一致する。ただし、この $tB$ の固有方程式は重解を持つため、固有値を用いた計算方法を使うことはできず、線形代数の知識を必要とする。

A.20.1 ベクトルの外積(p.400〜)

また,この系を右手系(right-hand system)であるという( $e_x \Rightarrow - e_z$ による変換により,上記座標系は左手系になる).

その前に書かれている、「基底が満たす条件」は、右手系特有のものではないことに注意。左手系の基底を $E_x, E_y, E_z$ としたとき(紛らわしいので右手系と異なる文字を用いた)、 $E_x \times E_y = E_z$ であり、 $E_x \times E_y = - E_z$ ではない。

$\exp [\phi k \times]$ は,与えられたベクトルを角 $\phi$ だけ回転させる演算子として, $A$ に作用する

$k$ に垂直な平面内で、という意味。

A.20.1 ベクトルの外積、参考・角運動量

剛体内における点 $P$ の速度ベクトルを,$v_P = \omega_P \times r_P$ なる形に仮定すると,

こう仮定してよいということを納得するためには、剛体についてかなり理解を深めないといけない。

議論の前提として、位置ベクトルの始点 $O$ を剛体の任意の場所にとっている。この点は空間に固定されたものではなく、剛体の運動とともに移動する。ただし、剛体の重心を選ばないといけないわけではない。 $v_P = \omega_P \times r_P$ と書くということは、「 $r_P = 0$ のとき $v_P = 0$ 」、すなわち $O$ の速度は常にゼロベクトルであると仮定していることになる。これは、 $O$ との相対速度を考えている、と理解すればよい。また、 $r_P \perp v_P$ から、 $P$ は $O$ との距離を変える方向( $OP$ 方向)の成分を持っていないことも仮定されている。両者はともに剛体の2点であるから、この仮定は妥当である。

注意しなければならないことは、 $r_P$ と $v_P$ が与えられたとき、 $\omega_P \times r_P = v_P$ を満たす $\omega_P$ は一意には定まらないことである。ある $\omega_P$ が条件を満たすならば、$\omega_P + kr_P$ ( $k$ は実数)で表されるベクトルはすべて同じ条件を満たす。

\[ 0 = \cdots = (\omega_P - \omega_Q) \cdot (r_P \times r_Q) \] となる.一般に, $r_P \times r_Q$ は $0$ ではないので \[ \omega \equiv \omega_P = \omega_Q \]

2つのベクトルの内積がゼロでも、いずれか一方がゼロベクトルになるとは限らない。ここから言えることは $(\omega_P - \omega_Q) \perp r_P \times r_Q$ 、言い換えれば $\omega_P - \omega_Q$ は $r_P$ と $r_Q$ の作る平面に平行である、ということである。この誤りは、上述の「 $\omega \times v = r$ だけでは $\omega$ は一意には定まらない」という点を著者が誤解している疑いを抱かせる。

A.20.2 和の約束(p.405〜)

冒頭の議論は、結果はよく知られているが、何を仮定して何を導いているのか捉えにくいかもしれない。 $r = \alpha e_x + \beta e_y + \gamma e_z$ と書けると仮定する(まぎらわしいので、 $x, y, z$ とは別の文字を用いた)。この等式の両辺と $e_x$ との内積を考えると $r \cdot e_x = \alpha e_x \cdot e_x + \beta e_y \cdot e_y + \gamma e_z \cdot e_z$ 、いま $e_x \cdot e_x = 1, e_y \cdot e_x = 0, e_z \cdot e_x = 0$ より $r \cdot e_x = \alpha$ が得られる。同様に $r \cdot e_y = \beta, r \cdot e_z = \gamma$ が言えるので、 $r = (r \cdot e_x)e_x + (r \cdot e_y)e_y + (r \cdot e_z)e_z$ が成り立つ。

\[ e_i \cdot e_j = \delta_{ij},\ e_i\times e_j = \varepsilon_{ijk} e_k\ (i,j,k = 1,2,3) \]

外積の等式は、このままでは正しくない。例えば、 $\varepsilon_{122} = 0$ であるが、 $e_1 \times e_2 = 0 e_2$ ではない。後に出てくる「アインシュタインの和の約束」に基づいて書かれていると考えれば正しい。すなわち $e_i\times e_j = \displaystyle \sum_k \varepsilon_{ijk} e_k = \varepsilon_{ij1} e_1 + \varepsilon_{ij2} e_2 + \varepsilon_{ij3} e_3$ 。

同様に,ベクトル三重積は \[ A \times (B \times C) = \cdots \\ = (\delta_{kl}\delta_{im} - \delta_{km}\delta_{il}) A_iB_lC_me_k \\ = (A_iB_kC_i - A_iB_iC_k)e_k \\ = \cdots \]

同じことだが、\[ (\delta_{kl}\delta_{im} - \delta_{km}\delta_{il}) A_iB_lC_me_k = \delta_{kl}\delta_{im}A_iB_lC_me_k - \delta_{km}\delta_{il}A_iB_lC_me_k \\ = (\delta_{im}A_iC_m)(\delta_{kl}B_le_k) - (\delta_{il}A_iB_l)(\delta_{km}C_me_k) = (A \cdot C)B - (A \cdot B)C \] と変形すると分かりやすいかもしれない。最後の等号はクロネッカーのデルタ記号の意味を考えれば当然である。

この証明では、少し前の「注意」に登場する $\varepsilon_{ijk}\varepsilon_{ilm} = \delta_{jl}\delta{km} - \delta_{jm}\delta_{kl}$ が用いられており、ここが式変形のヤマである。レビ・チビタ記号を使わない、成分計算による証明と、ここでの証明とを何度も見比べているうちに、上の等式とベクトル三重積の等式がほぼ同じもののように見えてくる。ポイントとなるのは $B \times C$ の添字 $j$ の書き下し過程である。例えば $j = 1$ に着目すると $A_3(B \times C)_1e_2 - A_2(B \times C)_1e_2$ という項が現れ、さらに $(B\times C)_1$ を書き下すと $A_3(B_2C_3 - B_3C_2)e_2 - A_2(B_2C_3 - B_3C_2)e_3$ と、添字は $2, 3$ のみ、すなわち $j$ 以外のものだけが登場する。そして、$(A, e)$ と $(B, C)$ の添字がこの順に一致している項にはマイナスを、逆順の場合にはプラスの符号をつけて合計すればよい。このような式の特徴を抽出して書いたものが、上のレビ・チビタ記号に関する等式であると言える。

A.20.3 ベクトルとテンソル(p.405〜)

\[ \lambda_{ij}\lambda_{kj} = \delta_{ik} \]

アインシュタインの和の約束を用いずに書き下すと、これは $\displaystyle \sum_j \lambda_{ij}\lambda_{kj} = \delta_{ik}$ 、すなわち $\lambda_{i1}\lambda_{k1} + \lambda_{i2}\lambda_{k2} + \lambda_{i3}\lambda_{k3} = \delta_{ik}$ という等式である。

$\lambda_{pq} (= e'_p \cdot e_q)$ は、 $S'$ 系の基底ベクトル $e'_p$ と $S$ 系の基底ベクトル $e_q$ を、互いに相手側の基底で書き直したときに、相手のベクトルにかかる係数を表している。つまり
$ \begin{array}{c} e'_1 = \lambda_{11}e_1 + \lambda_{12}e_2 + \lambda_{13}e_3 \\ e'_2 = \lambda_{21}e_1 + \lambda_{22}e_2 + \lambda_{23}e_3 \\ e'_3 = \lambda_{31}e_1 + \lambda_{32}e_2 + \lambda_{33}e_3 \end{array} $ であり、同時に $\begin{array}{c} e_1 = \lambda_{11}e'_1 + \lambda_{21}e'_2 + \lambda_{31}e'_3 \\ e_2 = \lambda_{12}e'_1 + \lambda_{22}e'_2 + \lambda_{32}e'_3 \\ e_3 = \lambda_{13}e'_1 + \lambda_{23}e'_2 + \lambda_{33}e'_3 \end{array} $ である。

一方を他方に、たとえば後者を前者に代入すると \[ \begin{array}{c} e'_1 = (\lambda_{11}\lambda_{11}+\lambda_{12}\lambda_{12}+\lambda_{13}\lambda_{13})e'_1 + (\lambda_{11}\lambda_{21}+\lambda_{12}\lambda_{22}+\lambda_{13}\lambda_{23})e'_2 + (\lambda_{11}\lambda_{31}+\lambda_{12}\lambda_{32}+\lambda_{13}\lambda_{33})e'_3 \\ e'_2 = (\lambda_{21}\lambda_{11}+\lambda_{22}\lambda_{12}+\lambda_{23}\lambda_{13})e'_1 + (\lambda_{21}\lambda_{21}+\lambda_{22}\lambda_{22}+\lambda_{23}\lambda_{23})e'_2 + (\lambda_{21}\lambda_{31}+\lambda_{22}\lambda_{32}+\lambda_{23}\lambda_{33})e'_3 \\ e'_3 = (\lambda_{31}\lambda_{11}+\lambda_{32}\lambda_{12}+\lambda_{33}\lambda_{13})e'_1 + (\lambda_{31}\lambda_{21}+\lambda_{32}\lambda_{22}+\lambda_{33}\lambda_{23})e'_2 + (\lambda_{31}\lambda_{31}+\lambda_{32}\lambda_{32}+\lambda_{33}\lambda_{33})e'_3 \end{array}\] を得る。ところで \[ \begin{array}{c} e'_1 = 1e'_1 + 0e'_2 + 0e'_3 = \delta_{11}e'_1 + \delta_{12}e'_2 + \delta_{13}e'_3 \\ e'_2 = 0e'_1 + 1e'_2 + 0e'_3 = \delta_{21}e'_1 + \delta_{22}e'_2 + \delta_{23}e'_3 \\ e'_3 = 0e'_1 + 0e'_2 + 1e'_3 = \delta_{31}e'_1 + \delta_{32}e'_2 + \delta_{33}e'_3 \end{array} \] である。 $\lambda_{ij}\lambda_{kj} = \delta_{ik}$ は、ふたつの展開方法の係数が一致することを主張している。

同じ議論を、行列を用いて書き直す。
$\left(\begin{array}{ccc} \ \\ e'_1 & e'_2 & e'_3 \\ \ \end{array}\right) = \left(\begin{array}{ccc} \ \\ e_1 & e_2 & e_3 \\ \ \end{array}\right) \left(\begin{array}{ccc} \lambda_{11} & \lambda_{21} & \lambda_{31} \\ \lambda_{12} & \lambda_{22} & \lambda_{32} \\ \lambda_{13} & \lambda_{23} & \lambda_{33} \end{array}\right)$ に $\left(\begin{array}{ccc} \ \\ e_1 & e_2 & e_3 \\ \ \end{array}\right) = \left(\begin{array}{ccc} \ \\ e'_1 & e'_2 & e'_3 \\ \ \end{array}\right) \left(\begin{array}{ccc} \lambda_{11} & \lambda_{12} & \lambda_{13} \\ \lambda_{21} & \lambda_{22} & \lambda_{23} \\ \lambda_{31} & \lambda_{32} & \lambda_{33} \end{array}\right)$ を代入すれば
$ \left(\begin{array}{ccc} \ \\ e'_1 & e'_2 & e'_3 \\ \ \end{array}\right) = \left(\begin{array}{ccc} \ \\ e'_1 & e'_2 & e'_3 \\ \ \end{array}\right) \left(\begin{array}{ccc} \lambda_{11} & \lambda_{12} & \lambda_{13} \\ \lambda_{21} & \lambda_{22} & \lambda_{23} \\ \lambda_{31} & \lambda_{32} & \lambda_{33} \end{array}\right) \left(\begin{array}{ccc} \lambda_{11} & \lambda_{21} & \lambda_{31} \\ \lambda_{12} & \lambda_{22} & \lambda_{32} \\ \lambda_{13} & \lambda_{23} & \lambda_{33} \end{array}\right) $ 。
これは $\left(\begin{array}{ccc} \lambda_{11} & \lambda_{12} & \lambda_{13} \\ \lambda_{21} & \lambda_{22} & \lambda_{23} \\ \lambda_{31} & \lambda_{32} & \lambda_{33} \end{array}\right) \left(\begin{array}{ccc} \lambda_{11} & \lambda_{21} & \lambda_{31} \\ \lambda_{12} & \lambda_{22} & \lambda_{32} \\ \lambda_{13} & \lambda_{23} & \lambda_{33} \end{array}\right) = \left(\begin{array}{ccc} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1\end{array}\right)$ であれば成り立つことが分かる。端的に書けば、 $A_{ik} = (\lambda_{ik})$ とおいたとき、 $A ({}^tA) = E$ ということである。

あるいは次のように書くこともできる。 $e'_i,\ e'_k$ を $S$ の基底で表すと $e'_i = \lambda_{im} e_m,\ e'_k = \lambda_{kn} e_n$。両者の内積をとると $e'_i \cdot e'_k = (\lambda_{im} e_m) \cdot (\lambda_{kn} e_n)$ 。基底ベクトル同士の内積をクロネッカーのデルタ記号で書き直すと、左辺は $\delta_{ik}$ 、右辺は $ \lambda_{im}\lambda_{kn}\delta_{mn} = \lambda_{ij}\lambda_{kj}$ と計算され、上と同じ等式を得る。この左辺と右辺は、同じ $e'_i \cdot e'_k$ という内積を $S'$ および $S$ における成分表示によって計算したものと見ることができる。 このように、基底ベクトル間の内積が、座標変換によって変化しない(つまりスカラー量である)ことが、一般のベクトルの内積もスカラー量となることの基礎になっている。

\[ r = x_ie_i = x'_ie'_i. \]

これも行列で表示すると \[ \left(\begin{array}{ccc} \ \\ e'_1 & e'_2 & e'_3 \\ \ \end{array}\right)\left(\begin{array}{c} x'_1 \\ x'_2 \\ x'_3 \end{array}\right) = \left(\begin{array}{ccc} \ \\ e_1 & e_2 & e_3 \\ \ \end{array}\right)\left(\begin{array}{c} x_1 \\ x_2 \\ x_3 \end{array}\right) \] となる(ただし、左辺・右辺を入れ替えた)。上と同様に $\left(\begin{array}{ccc} \ \\ e_1 & e_2 & e_3 \\ \ \end{array}\right) = \left(\begin{array}{ccc} \ \\ e'_1 & e'_2 & e'_3 \\ \ \end{array}\right) \left(\begin{array}{ccc} \lambda_{11} & \lambda_{12} & \lambda_{13} \\ \lambda_{21} & \lambda_{22} & \lambda_{23} \\ \lambda_{31} & \lambda_{32} & \lambda_{33} \end{array}\right)$ を代入すれば \[ \left(\begin{array}{ccc} \ \\ e'_1 & e'_2 & e'_3 \\ \ \end{array}\right)\left(\begin{array}{c} x'_1 \\ x'_2 \\ x'_3 \end{array}\right) = \left(\begin{array}{ccc} \ \\ e'_1 & e'_2 & e'_3 \\ \ \end{array}\right) \left(\begin{array}{ccc} \lambda_{11} & \lambda_{12} & \lambda_{13} \\ \lambda_{21} & \lambda_{22} & \lambda_{23} \\ \lambda_{31} & \lambda_{32} & \lambda_{33} \end{array}\right) \left(\begin{array}{c} x_1 \\ x_2 \\ x_3 \end{array}\right) \] 両辺の左端にある行列を覆い隠せば(もちろんこの行列に逆行列が存在するからできることであるが)、

\[ x'_i = \lambda_{ij}x_j \]

が得られる。このように、基底を取り替えたことによる成分の変化を表す等式は、両辺の左に「基底の要素を列ベクトルとして並べた行列」があると思えば理解しやすい。

「注意」…(略)…符号を変えないものを極性ベクトル(polar vector),あるいは単にベクトルという.

そこまでの本文、「座標変換に伴って、(こういうふうに)成分が変化するものをベクトルという」という内容と相反しているように見えるかもしれないが、そうではない。極性ベクトル自体は座標軸とは無縁に、「空間に対して」同じ向き・大きさを保っているがゆえに、座標軸の取り方が違えば成分表示が異なる。これに対し軸性ベクトルは、座標軸を取り替えたことに伴ってベクトル自体が追従して変化し、左手系での成分表示と右手系での成分表示が同じになる。

\[ S_R : A \times B, S_L : - A \times B \]

これは、左手系で $A \times B$ を作ると、「右手系では $- A \times B$ と呼ばれるはずのベクトル」になる、という意味だと思われる。

軸性/極性ベクトルを解説するには、テキストのこの箇所だけでは紙面が足りないと感じる。(参考)右ネジの法則?左手の法則?

\[ T'_{ij}A'_{ij}=\lambda_{il}\lambda{jm}T_{lm}(\lambda_{jk}A_k)=\lambda_{il}\delta_{mk}T_{lm}A_k=\lambda_{il}(T_{lk}A_k) \]

以下のように考えてもよい。 $T = D \otimes E$ とすると、 \[ TA = (D \otimes E)A = \left(\begin{array}{ccc} D_1E_1 & D_1E_2 & D_1E_3 \\ D_2E_1 & D_2E_2 & D_2E_3 \\ D_3E_1 & D_3E_2 & D_3E_3 \end{array}\right)\left(\begin{array}{c} A_1 \\ A_2 \\ A_3 \end{array}\right) \\ = \left(\begin{array}{c} D_1E_1A_1 + D_1E_2A_2 + D_1E_3A_3 \\ D_2E_1A_1 + D_2E_2A_2 + D_2E_3A_3 \\ D_3E_1A_1 + D_3E_2A_2 + D_3E_3A_3 \end{array}\right) = (E_1A_1 + E_2A_2 + E_3A_3)\left(\begin{array}{c} D_1 \\ D_2 \\ D_3 \end{array}\right) \\ = (E \cdot A)D\] $E \cdot A$ はスカラーであり座標変換に対して不変であるので \[ T'_{ij}A'_j = (TA)'_i = [(D' \otimes E')A']_i = [(E' \cdot A') D']_i = (E \cdot A)(\lambda_{il}D_l) \\ = \lambda_{il}[(E \cdot A)D_l] = \lambda_{il}[(D \otimes E)A]_l = \lambda_{il}(TA)_l = \lambda_{il}(T_{lk}A_k) \] となる。

A.20.3 ベクトルとテンソル、参考(p.413)

\[ \varepsilon_{ijk}\varepsilon_{jlm}x_jx_m = \delta_{il}x_mx_m - x_ix_l \] を考えると,

左辺の2つ目のレビ・チビタ記号の添え字は $jlm$ ではなく $klm$ である。なお、ここでの添え字 $k$ は、質点の番号である $m_k$ や $r_k$ の $k$ とは無関係であることに注意。

\[ I \equiv \sum_{k=1}^{n} m_k\left((r_k \cdot r_k)E - r_k \otimes r_k\right) \]

ベクトル三重積の等式と前頁で補足した等式 $(D \otimes E)A = (E \cdot A)D$ を用いて、 \[ r \times (\omega \times r) = (r \cdot r)\omega - (r \cdot \omega)r = (r \cdot r)\omega - (r \otimes r)\omega = [(r \cdot r)E - (r \otimes r)]\omega \] と導くこともできる。

成分計算による計算過程はこちら

A.21.1 行列式とスカラー三重積、例題(p.416)

変形を追えば確かに行列式の値が求まることは納得できるが、自分でどのような方針で行えばよいか分からない人のために、一定の手順で行う方法を示す。

第 $n$ 行を用いて、第 $n + 1$ 行以下のすべての第 $n$ 列をゼロにする。運が悪くなければ(!)この方針だけで行列式が計算できる。

まず、第1行の(-1/3)倍と(-1/2)倍を、それぞれ第2行、第3行に加えることにより、 $\left|\begin{array}{ccc} 3 & 4 & 5 \\ 0 & 2/3 & 4/3 \\ 0 & -23/3 & 2/3 \end{array}\right|$ 。これで第2行以下のすべての第1列がゼロになった。

次に、第2行の(23/2)倍を第3行に加えることにより $\left|\begin{array}{ccc} 3 & 4 & 5 \\ 0 & 2/3 & 4/3 \\ 0 & 0 & 16 \end{array}\right|$。これで第3行以下のすべての第2列(実際には要素ひとつだけであるが)がゼロになった。

この行列式を考えると、ゼロの関与する項はすべてゼロになることから、対角要素を掛け合わせた $3 \times (2/3) \times 16$ を計算するだけでよく、その値は $32$ となる。

A.22.1 基本的なラプラス変換(p.424〜)

よって, $a = {\rm Re}(s) > 0$ であれば,上記広義積分が存在する.

「上記広義積分」というより、 $\int_0^\infty e^{-st}dt$ が存在する。「上記広義積分」が存在するかどうかは $f(t)$ によって異なり、例えば3つ目の例である $f(t) = e^{at}$ の場合、 ${\rm Re}(s - a) > 0$ ならば広義積分が存在する。